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2013年11月23日 (土)

往事渺茫(おうじびょうぼう) その2

3.当時の交通事情

 前述のように昭和21年4月から24年3月まで、新制高校の併設中学校に通学したが、汽車の本数は少なく殆んどいつも満員だった。朝の登校時はまだデッキにぶら下がってでも行けたが、午後の下校時にはデッキも一杯で窓から入ったり、いよいよ乗れない時には機関車の石炭の上に乗ったこともあった。機関助手が殆んど休む間もなくスコップで釜に投げ入れるのを見ていて、大変な作業だなと思いながら石炭の上で帽子を飛ばされないように懐に入れて級友と共に眺めていた。

 水戸市内では路面電車が走っていた。大洗海岸の「曲り松」という駅から、水戸駅の常磐線の一つ先(上り)の赤塚駅近くにある上水戸駅までの区間を走る水浜(すいひん)電車である。この電車は水戸下市の浜田駅から水戸上市の公園口(偕楽園の入り口近く)までの市街地が路面電車で、その前後は専用軌道を走っていた。

 水戸駅から学校に行くには普通は歩くのだが、雨天の時や疲れた時はこの電車を利用して上水戸駅まで行く事が多かった。その時には上水戸駅近くの急カーブの曲り角で減速するので、そこで飛び降りて近道をするのが通例だった。バスは本数が少なく、時間も当てにならないので乗った事は無かった。

 この電車は単線で駅毎に交換する電車を待ち合わせがあり、歩く時より10分か20分ぐらい早く着くだけなので、乏しい小遣いから電車賃はあまり出したくなかったので歩く時がほとんどだった。

 水戸駅前からしばらくの間はなだらかな坂道で、路面電車が走る道路の片側はまだ焼け野原のままの広い敷地の広場があり、戸板の上に食べ物や中古の日用品などを乗せて売っている闇市になっていた。中には物を売るために人を集めて面白おかしく口上を述べる者がいて、よくその人だかりの後ろから覗いたものだった。

 
4.当時の映画・音楽

 当時の楽しみの一つは映画だった。当時の映画は封切り館で入場料10円だったが、その後2番3番館になると入場料2円99銭になる。3円以上になると税金が掛かるかららしい。

 昭和21年から昭和24年頃までに見た映画は、邦画では三船敏郎の「酔いどれ天使」や片岡千恵蔵の「七つの顔の男」シリーズである。場末の映画館でしょっちゅう停電をしていたことを思い出す。

 洋画では「若草物語」「仔鹿物語」やロシヤ映画の「石の花」などはテクニカルカラ―の素晴らしさと共に長く記憶に残った。当時は路面電車の停留場付近には横5メートル、縦2メートルくらいの大きな映画の看板が幾つも立っていて封切映画の宣伝をしていた。しかし中学生の頃は映画を見る機会は少なく、本格的に映画館に出入りするようになったのは高校生になってからだった。

 音楽は毎朝登校する時に岡晴夫の「東京の花売娘」が大音量で駅前のパチンコ屋から流れていて歌詞も覚えてしまうほどだったが、それ以外には毎週ラジオから流れる今週の何とかという(題名が思い出せない)歌謡曲番組を良く聞いた。岡晴夫の「あこがれのハワイ航路」が何週間もトップだったのを覚えている。

 昭和21年から24年までの主な歌謡曲はネットで調べると「リンゴの歌」は別格だが、田端義夫の「かえり船」、近江俊郎の「湯の町エレジー」「山小屋の灯」、二葉あき子の「夜のプラットホーム」「恋の曼珠沙華」、笠置シズ子の「東京ブギウギ」、藤山一郎の「長崎の鐘」「青い山脈」、平野愛子の「港が見える丘」「君待てども」、竹山逸郎の「異国の丘」、小畑実の「アメリカ通いの白い船」などがあった。皆思い出深い歌で今でもカラオケで歌えると思う。

 またその頃のラジオ番組は現在もテレビで続いている「素人のど自慢」を始め、クイズ番組の「話の泉」、引揚者などの消息を尋ねる「尋ね人」が昭和21年から、連続ラジオドラマの「向う三軒両隣」「鐘のなる丘」、音楽バラエティ「日曜娯楽版」、クイズ番組の「二十の扉」が昭和22年から、バラエティー番組の「とんち教室」、連続ラジオドラマの「えり子とともに」、クラシック音楽番組の「音楽の泉」が昭和24年から始まっていた。

 当時は家庭で見聞きできるものはラジオしか無く、連続ドラマやクイズ、バラエティ番組は家族揃って聞いていた。どこの家庭でもほとんど同じで、ラジオの話になると共通の話題で盛り上がるのが常だった。

(以下次号)

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