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2008年12月 1日 (月)

那谷寺

 那谷寺は小松から山中温泉に行く途中にあり、「おくのほそ道」でも小松の次に記されているが、実際は山中温泉から北枝と共に小松にいったん戻る途中に参詣したもので、曾良は同行していない。

 この寺は養老元年(717)に創建された古刹である。平安中期に花山法王が訪れ、岩窟に観音菩薩を拝し、西国33ヶ所観音霊場の第一番山青岸渡寺の「那」と第三十三番谷汲山華厳寺の「谷」をとって那谷寺と改めたという。「おくのほそ道」には「左の山際に観音堂あり。花山の法皇三十三所の巡礼とげさせ給いて後、大慈大悲の像を安置し給いて、那谷と名付給うと也。那智・谷組の二字をわかち侍りしとぞ。」とその由来を記している。その間、南北朝時代の戦乱で堂宇は灰燼に帰したが、加賀藩三代藩主前田利常が再興した。

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 山門を入ると左手に平成2年に再建されたきらびやかな金堂があり、同じく平成2年に造られた高さ7.7メートルあるおおきな丹塗りの十一面千手観音が安置されている。その右手に入ると書院があり、裏手には小堀遠州の指導を受け、国の名勝に指定されている庫裏庭園がある。更にその奥に行くと琉美園という広い庭園がある。中央部には池があり大きな自然石の岩壁が三つに別れて聳え立っている。阿弥陀三尊を表わす三尊石と言われるが江戸時代にはそこから滝が流れ落ちていたそうである。一時荒廃したが戦後復元したものだそうであるが、雨天時でないと滝は流れず池の水も大分少なくなっていた。(写真は山門)

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 参道に戻りしばらく進むと左手が蓮池になっており、対岸には奇岩遊仙境という岩山がある。崩れると白砂になる岩石で出来ていて中腹に洞窟のような裂け目のある奇妙な形をした岩山が続いていて、階段や鳥居があり小径でつながって、回遊できるようになっている。しかし手すりも無くさらさらした砂で出来ているので、雨天時にはとても行く気にはなれない道だった。

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 奇岩遊仙境を横に見て更に進み、岩壁に向かって続く石造りの階段を上ると唐門があり、続いて舞台造りの本殿がある。岩窟内に建てられているので岩屋本殿と呼ばれ重要文化財である。本殿内部の厨子の中に本尊である十一面千手観音が祭られている。本殿からこれも重要文化財の三重塔に続く道があり、小振りだが落ち着いた感じの立派な三重塔である。さらに回遊路を行くと遊仙境が正面に展望できる鎮守堂という場所に出る。そこからは奇岩遊仙境の全体が眺められ、秋には前景にある紅葉との対比で素晴らしい景観が眺められる場所である。しかし芭蕉の頃には紅葉は無く、松の緑に白い岩山が良く映えた名勝だったようである。「おくのほそ道」には「奇石さまざまに、古松植ならべて、萱ぶきの小堂岩の上に造りかけて、殊勝の土地也。」と褒め称えている。

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 鎮守堂から階段を下りると大きな岩の前に芭蕉の苔むした句碑がある。 「石山の 石より白し 秋の風」 の句であるが欠落してうまく読めない。その隣には「奥の細道」の那谷寺の部分が「翁塚」というこれも苔に覆われた石碑に刻まれている。この辺りは湿気が多いのか太い木々の間はびっしりと苔が張り付いている。台風が間近に来ていて風が強く厚い雲が垂れ下がっており、もう少しゆっくりして居たかったのだが、名残惜しく那谷寺を後にし山中温泉に向かった。

(H17-9-6訪)

 注1:写真をクリックすると大きくなります。

 注2:青字の句は「おくのほそ道」にある句です。

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